京都の呉服屋さんで初めて買った自分用の着物

私は以前から和装に興味があったというわけではなく、10代の頃は「暑いし動きにくいから」という理由で夏祭りに浴衣も着ないような女の子でした。

ところが、成人式のためにレンタル振袖を選びに行った時、今までなんとも思っていなかった和服が突然とっても可愛く思えたのです。

繊細な柄が、華やかな色が洋服にはない魅力的なものに感じました。

「いつか働いて、レンタルじゃない自分の着物を買おう」そう心に決めました。

それから大学を卒業し、社会人となった年のゴールデンウィーク、初めて着物を買いに京都市内の呉服屋さんへ行きました。

社会人とは言ってもまだ1年目。そんなにお金はかけられないので、長く着れる袷の着物を1着買うつもりだったのですが、今から仕立ててもらうと出来上がる頃にはもう6月。

今年も暑くなりそうだし夏の帰省時にも着物を着たいな~なんて思っていたので淡い水色の絽の着物を購入しました。

初めて自分で購入した着物が嬉しくて完成するまでの1か月、ヘアアレンジや帯の結び方を調べたり次に買うとしたら袷の着物かな~と妄想したりして過ごしました。
そして待ちに待った着物が完成。

次の日すぐに着付けをして、念願の着物で近所の図書館へと出かけました。(若い子が着物で図書館なんて素敵じゃない?)と思い、内心かなりテンションが上がりながら着物の着付けに関する本を読んでいました。

すると近くを通りかかった40代半ばと思しき女性が、小声で話しかけてきたのです。
「あなたそれ絽の着物?ご存じないのかもしれないけど、それ7月から着るものなのよ?」

突然のことに、私は驚きました。

確かに以前読んだ着付けの本に、そういったことは載っていましたが気温に合わせて好きに着ればいいと思っていました。

「あ、実は、これしか持っていなくて、あと、今日暑いので」

とっさに言い訳めいたことを言ってしまったのですが、女性はブツブツを着物のルールを説いてきます。

「最近の子は、おかしな着方をしてるでしょう…日本らしい着物文化が…そもそも和装っていうのは…」

(噂に聞いていたけど、本当にこんな人がいるんだなあ)

私は話し続ける女性を前に意識を遠くに飛ばすことしかできませんでした。

(ああ…水羊羹食べたいなあ…)

外では、季節外れのセミが鳴いていました。

少しだけ落ち込んだ帰り道、近所の小さな和菓子屋さんで水羊羹を買いました。
家に帰り、好物の水羊羹を食べるとさっきの出来事なんて気にすることないと思えてくるから不思議です。

(これからも好きなように着たらいいんだ、私の着物なんだもん!)

そう思うことができました。

今でも、水羊羹を食べると時々思い出します。

肩にカーディガンを巻き、サンダルにストッキングを合わせていた女性に「着こなし」を注意されたあの日のことを。

それは、夏のように暑い、6月の出来事でした。

いまはもう、着物を着る機会がなくなったので、思い切って着物を買取りに出そうと思うんです。

京都といえば着物の名産地だけあって、呉服店はたくさんあります。どの買取店に売ろうか悩んでいたところ、この着物買取京都でおすすめの出張買取店が紹介されていました。

査定だけの確認でも利用していいらしいので、こんど電話してみようと思います。